注目されている外国人介護職を巡る現状と今後の課題
高齢化の進行とともに慢性化している介護業界の人手不足の問題。それを解消する有力な手段として注目されているのが外国人労働者の積極的な受け入れだ。すでに介護業界全体ではかなりの数の外国人が労働に従事しており、今後さらに増えていくことが予想されている。なお、2022年11月には政府が今後5年間で最大約34万人もの外国人労働者を介護分野に受け入れることを発表している。この点からもいかに介護業界において外国人労働者に対して期待が寄せられているかが推測できる。
しかし、介護業界で働く外国人労働者は増えている一方、介護職の資格を取得したうえで介護の現場で活躍している外国人介護職の数はまだまだ少なく、特定技能制度の介護分野において在留資格を資格を得ている外国人介護職の数は2020年3月のデータでまだ3900人。まだまだ介護業界の中核となる部分で外国人労働者が活躍している環境とは言えず、また人手不足の解消に役立っているとも言えない状況だ。この数字では「焼け石に水」と評価する人も少なくないだろう。
この点に関しては語学力の問題など、日本で介護職を目指す外国人の側の問題だけでなく、外国人を受け入れる介護施設の側の準備や環境が整っていない問題も深く関わっている。だからこそ政府が積極的な受け入れを推進していく必要があるのだろう。介護サービスの質を維持するためにもただ外国人労働者を増やせば良いわけではなく、介護に関する知識・技能を備えた外国人介護職をどれだけ増やせるかがポイントになりそうだ。なお、新型コロナ流行下においても外国人介護職の数は増加を続けており、希望が持てる状況にあることも指摘しておく必要があるだろう。